馬頭観音
馬頭観音は、もとは仏教の観音説に基づいた六観音の一つで、悪人調伏・衆病息除・天変地異排除を司る仏であった。つまり仏が馬に乗って四方を駆けめぐり、一気に悪魔を排除するという意味で頭上に馬をのせ、精悍さを象徴したものであったが、後生になってそれが極めて通俗化され、本来の意味から転じて専ら馬を守る仏として、農家や馬方の間に信仰されるようになったものであるという。
 江戸時代の中期から、馬は農耕用としてばかりでなく、第一物質輸送方法として多く飼育され。農家や馬方にとって貴重な財産であった。農家では馬は家族の一員として可愛がり、寝食を共にしほかの動物以上に愛情をかけていた。したがって常に馬の無病息災を祈り、馬が死ねば碑を立てて供養をする気になったのも当然であろう。そして馬を専門に守り、また、死後もを見守ってくれる仏が必要であり、馬頭観音をそれにあてて、これをまつり拝んだということであろう。
《倉渕村誌から》
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