加藤俊伸 「紙片と余白」

加藤俊伸
1962     東京都に生まれる
1989     明治大学大学院政治経済学研究科卒業
       (経済学修士)
1994     明治大学大学院博士後期課程修了
1994〜1995  明治大学政治経済学部非常勤講師
       (外国書購読担当)
主要論文   「循環的IS-2Mモデルの理論的基礎」
       「在庫変動のマクロ理論」
       「実物景気循環モデルの理論的基礎」他
現 在     高崎美術学院学科講師

 今回の作品は、加藤俊伸氏の作品を柳健司氏がプロデュースしたものです。
哲学者ドゥー・ルーズ・ガザリの本の中の余白部分に描かれた奇妙な図形、紙片に描かれた複雑怪奇な数式郡。彼の作品は自分の研究対象そのものなのである。理解すること、記憶すること、さらなる新展開を考えること、それが研究者ならば、芸術家もまた研究者であるといえよう。
 余白部分に描かれた図形は、彼がその内容を自分で理解し、記憶に残しておくためだけに描かれた図形達である。しかしその形は、最低限に整理された鉛筆の線で描かれ、無駄の無いそれは、見る者にエロティックさや、懐かしさまでも感じさせる。
紙片に描かれたものは、彼が学会で研究発表している「マクロ経済学」の理論数式である。我々には分かりにくいものであるが、その数式の羅列は見る者に、人間が一生の内にできる探究の可能性や、まだ見ぬものの存在を感じる事ができるであろう。

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