パソコン点訳ってなに?!

1. はじめに

昔点訳と言えば、点字機や点字タイプライターを使って、点字用紙に直接打ち出していました。それがこの頃では、パソコン上で専用の点訳ソフトを使い、完成した点字文書(点訳データ)を、点字プリンターで印刷したり、ピンディスプレイ(点字ディスプレイ)に表示させて触読したり、そのまま画面読みソフトで読ませて、読書する環境が整ってきました。これを「パソコン点訳」と言います。

 パソコン点訳の歴史は古いのですが、元々ネット上で生まれたためか、広く知られていない物かも知れませんが、視覚障碍者の読書環境、情報源の一つです。特に点字の読めない視覚障碍者で、パソコンを使えるユーザーには、有益な読書環境を提供する物と思います。

こちらにパソコン点訳工房があります。


2. 点訳ソフト・点字変換ソフト紹介

「点訳ソフト」は、パソコン上で点字文を作成するソフトですが、「点字変換ソフト」はパソコンやメール、インターネット上に存在する墨字の文書(テキスト形式)のファイルを直接点字文のファイルに変換できるソフトです。現在、入手可能なソフトは、およそ次の様なものがあります。


点訳ソフト

以下、ソフト名、価格、入手先、使用パソコン環境、音声化の有無、備考の順に記します。

(1) 点字編集システム

注 意

 *1.ダウンロードした「点字編集システム」の無料での使用期間は2週間で、それ以後はライセンスキーの購入が必要です。   

 *2.点字文の内容の読み上げには、ソフト付属の音声を仕様しての読み上げとなります。。

 *3.点字の6点入力に付いて。ソフトウェア側で6点入力をサポートしている場合であっても、キーボードなどのハードウェア環境が6点入力をサポートしていない場合があります。
そのような現状も考慮し、ソフト導入前に予めお使いのキーボードが6点同時入力を受け付けるか確認して置く必要があります。以下のソフトも同じ。

(2)ブレイルスター for Windows


☆ 以下は、全て無料のソフトです。

(1) Winbes99

>注 意

 *1. Windows XPでは、点字フォントが表示されないことがあるようです。
そのような場合は、まず、前もって、Windows98などの環境にインストール後、フォントファイルをフロッピーなどにコピーして置きます。

つづいて、XP環境に、Winbes99をインストールしたところに、先程コピーして置いたフォント関連のファイルを、所定のフォルダ にコピーします。

(2) 点字エディター「t・エディタ」

(3) Winb(ういんびい)


点字変換ソフト

(1) Extra for Windows

 解 説: 一般文書、及び文書ファイルを、点字文書に変換したり、変換結果を直接点字プリンターで印刷可能*1。変換作業のみWindows画面読みソフトでの使用も可能。

注 意

*1 変換結果は必ずしも正しい物ではないため、返還後に点訳ソフトを用いた校正作業が必要です。以下同じ。

(2)  ブレイルブリッジfor Windows

解説:漢字かな混じり文書をかな分かち書き点字文 書に、かな分かち書き点字文書を漢字かな混じり文書に、またフルスペルの英文を2級 英語点字に、2級英語点字をフルスペルの英文にと、日本語・英語両者に対応した普通 字と点字との相互自動翻訳ソフトウェア*1。
国内で入手可能な全てのピン(点字)ディスプレイにも対応。

以下は、無料のソフトです。

ソフト名に続いて、入手先、動作環境、解説・備考などの順に記す。

(2)ibukiten(いぶきてん)

点訳ソフトに関しては、点訳ソフト・関連ソフトもご覧下さい。


3. 点訳ソフトの特徴(その1)

先のように、音声化された点訳ソフトでは、キー入力、画面読みの機能がありますが、それ以外の点訳ソフトでは、一般のワープロソフトのような文書作成や編集に関する機能を持っています。

 特種な機能としては、画面表示を点字表示と墨字(点字に対して、健常者が使用する文字のこと)の表示を切り替えて、画面を確認することができます。この機能により、点字を知らない人でも有る程度、点訳資料を作成することができます(もちろん、正式な点訳には、点訳の規則に従って文章を作成します)。

 このほか、特殊な機能としては、文字を書き込むときのキーの入力方法に、点字タイプライターと同じ指使いでキーを押すことのできる機能が有ることです。ただ、最近のパソコンで は、ハードウェアの問題で、このキー入力が使えないパソコンが増えています。


4. 点訳ソフトの特徴(その2)

ここでは、パソコン点訳をすることで、視覚障碍者(利用者)に取って、どのような点がすぐれているのか、簡単に紹介します。


5. 点訳データの利用例

では実際に、点訳データをどのように利用しているのか紹介します。

      読書として利用する  
  1.  資料として、必要な時に必要な部分のみ利用する。

上記のうち、もっとも点字印刷に適しているのは読書用のデータ、つまり文学書などです。

 次に点字印刷して全部読むわけでは無いが、後で必要になったら利用したいと言う場合を考えて見ましょう。こんな時こそ資料のデータを保管して置いて、必要になったらそれを呼び出して必要な部分を検索して、読むことができます。それなら録音図書でも良いかと言うと、録音図書の場合は、必要な部分を直ぐに探し出すことができません。*1

パソコンで資料のデータを利用していれば、点訳ソフトの検索機能を利用すれば瞬時に目的の部分にジャンプすることができます。

□ 補 足

 *1. 現在、daisy(デイジー)と言うcd図書製作ソフトの登場とそれを再生する再生機器であるプレクストークを使用することで、録音図書の形態が変わって来た。


6. 現状と課題

 まず、点訳者の側には興味はあるが、パソコンが無い。点訳のためにパソコンを購入するのは経済的にも負担になると言う現実もあります。また、ソフトやハードの操作方法に関するサポートを希望する方もいるかも知れません。他には点訳に使用していたパソコンの故障で、点訳ができないなど、ハード的なトラブルもあります。

こう言った場合、パソコンに詳しい利用者やパソコンボランティアの協力により、機器の保守や点訳ソフトのセットアップも可能ではと考えています。

 利用する側としての課題としては、点訳はできたが、点字プリンタを気軽に借りられる施設が少ないと言う声もよく聞きます。点字プリンターはまだまだ高額な商品で個人や組織が気軽に購入できるものではありませんが、国内で販売されている展示ディスプレイの種類や価格帯も増えて来ており、現在は20万円を切る携帯用の点字ディスプレイも販売されているので、点字用紙に印刷せずに点字が読める環境も整ってきました。

最後に、パソコン点訳にはすぐれた点が多く有る反面、点訳の規則、データの著作権など、利用者点訳者も考慮しなくてはならない点もあることを書き添えて置きます。