検診とは?
乳がん検診について
厚生労働省とがん検診に関する検討会会議により、平成17年から自治体が行う乳がん検診は、40才以上のすべての方を対象にマンモグラフィを主として視触診を併用とすることが決まりました。現在では 視触診は施行しなくても良くなっています。 必須ではありません。
また働く女性たちが受ける職域検診でもマンモグラフィあるいはエコーを受けることができるようになってきました。
現在のところ、40才以上の方については、マンモグラフィによる乳がん検診が標準であり、乳房の発達の良い高濃度乳房の方についてはマンモグラフィとエコー併用がよいとされています。 エコー単独による検診は、正式には認められておりません。
乳がんは何歳くらいが多いのでしょうか?
現在、日本では乳がんは増加傾向にあります。20年前に比べ約4倍の罹患率と言われています。 30才台後半から増え始め、40代後半にピークがあります。乳がんは高齢者の病気ではありません。近年、乳癌の罹患率は女性のかかる癌の中で最も多く、約11人に1人の割合で乳癌に罹ります。
けっして、わたしだけは乳癌にならないはず、とはいえないのです。 遺伝性素因のある方は さらに乳がんのリスクが高くなります。
「検診」と「病院受診(診察)」はちがうもの?
どちらも結局は、本人の自由意志で受けるものですが、「検診」とは自覚症状のない健康な人が念のため受けるものであり、おもに各自治体などで受けられます。集団検診や個別検診があります。多くの人数を限られた時間と経費の中でこなさなければならない「ふるいわけ=スクリーニング」です。見逃し例を少なくすることばかりでなく要精検率を高くしすぎないことが重要になります。そのため、本当は異常のない人でも要精査、疑い例としてひっかかったり、逆に、発見されないこともあります。
乳癌があるのに発見されないとはどういうことかといえば、実際、精度の高いといわれているマンモグラフィでも単独では乳癌が100%発見できるわけではなく、比較的若い高濃度乳腺の方では20%くらいが検出できません。 いわゆる見落としということではなく、そもそも病変がうつらない検出不能例です。このような方では、むしろエコーによる検査が適しています。
多くの企業が行う職場健診も同じような状況と考えられます。
「検診」は特に自覚症状のない人が毎年の健康チェックとして受けるのであれば十分と考えます。また、人間ドックは検診より総合的に検査しますが、その内容は病院によりさまざまです。そこには必ずしも専門医がいるとは限りませんし、検査の精度も異なります。
一方、「病院受診(診察)」とは、症状または気になる部分がある人が受けるもので、その症状に対しての専門的な診察と検査を行います。通常は乳腺専門医や乳腺認定医(注1)が診察を行い、様々な技術を駆使して診断します。検診でなにか疑いのある人が受ける精密検査(2次検診)にあたります。
「検診(健診)」と「病院受診(診察)」とはそもそも質がちがうものであるということを知っておく必要があります。
(注1) 専門医とは、乳がんの場合、日本乳癌学会が認定した乳腺専門医です。その多くは外科医ですが、内科、産婦人科、放射線科などの医師もいます。乳腺専門医は、乳腺認定医より更に上位の資格であり、臨床、研究における指導医的な資格です。
では、どうしたらよいのでしょうか?(40才以上の検診対象年令の場合)
- まず、まったく自覚症状のない人は、定期的な検診を受けて、ふだんは自己検診をしていればよいでしょう。
→ 自己検診のポイント
月に一度、生理の終わった1週間目頃、自分の指で自分の乳房をチェックしましょう
乳房のしこり、硬さ、左右の違い、ひきつれ、乳頭分泌などがないか調べます。
- 少しでも気になったら、迷わず病院を受診することです。乳腺外科、乳腺科、あるいは内分泌外科や乳腺専門医のいる病院を受診して、きちんと検査を受けることをお勧めします。
- 乳がん検診として、少なくとも2年に一度はマンモグラフィによる検診を受けましょう。そして、もし、できれば 40歳代の方は、エコーと併用して受けられればさらに確実です。
- 50歳代以降の方は、2年に一度のマンモグラフィでよいのですが、人によってはエコーが必要な場合もあります。
- 2年に一度の検診を受けていれば、たとえ乳癌になったとしても、少なくとも早期がんの段階で発見されるであろうというのが有識者の見解ですが、乳がんの中には悪性度が高く、通常より進行の早い腫瘍もありますので、たとえ検診を毎年受けていても途中で自己発見される中間期乳癌があります。そのため毎年検査を受けられれば理想的です。
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