デーリーサイエンスの探究

Summer Dairy Institute 2015参加レポート

諏訪 美咲
2015.6.15〜7.24


アメリカNY州のCornell大学にて行われた1か月半のセミナーに参加した。

1.参加の経緯
 当診療所で検診を行っている牧場は頭数規模で20頭から1000頭超と幅広く、日々様々な問題や課題が発生する。乳房炎、栄養、繁殖、代謝疾患、感染症コントロール、蹄病など多岐にわたった問題を解決するに当たり、普段から文献検索、セミナー参加などで情報を収集している。しかし日本では生産獣医療の概念も歴史が浅く、殆どを海外、特にアメリカの情報に頼っている。
 日本の獣医療は「火消し」に例えられる。病態や治療法だけでなく、もっと牧場の仕事の中に潜んでいる原因や牛の習性を知り、「火事にならない家を作る」考え方がアメリカにはあると感じた。
 SDIでは様々なテーマに対して、それぞれ著名な専門の先生を招き授業を行うという何とも贅沢なセミナーであることをAABP(アメリカ牛獣医師会)のメーリングリストで知り、応募した。またアメリカの獣医学生との関係を築き、今後の情報交換の助けになればというのも大きな目的の一つだった。

2.参加者の内訳
  • 出身地
    アメリカ 15人(東部大学の出身者が多かったが、ワシントン州からの学生も) 
    カナダ 11人
    UK 1人
    イタリア 1人
    日本 1人
  • 男女内訳
    男8人 女21人
  • 大動物、特に酪農に関わる獣医を志望・就職した獣医学科を修了したばかり、あるいは最終学年の学生が殆ど。

3.SDI中の生活
 Daryl Nydam先生とPaula Ospina先生が窓口となって世話をしてくれていた。
  • コーネル大学の近くにあるAZ Houseという寮を7週間SDIの生徒のために解放し、殆どの学生がここで共同生活を行った。
  • 平日
    朝は自由にシリアルとベーグルを食べ、昼はスナックと夕飯の残り、夕飯はPeter シェフによるおいしいディナーが提供された。食事当番や掃除当番などが振り分けられた。
  • 休日
    Ithacaは美しい湖畔の丘陵地帯で、希望者で毎週のようにハードなハイキング、キャンプなどに行った。後半は発表の準備のため、夜は班ごとに集まりミーティングを重ねた。

4.授業トピック
 第1週目
  • 統計学
  • データ整理
  • マージナルコストの定義・計算・評価
  • 論文の批判的な評価
  • 牧場訪問(アーミッシュの牧場・ロボット酸性化乳哺乳・AMSロボット搾乳・大規模育成牧場)
  • OPU/IVF (経腟採卵・体外受精)を行うクリニック訪問
  • カーギル訪問
 第2週目
  • 移行期の管理
  • ブル(雄牛)マネージメント
  • 牧場訪問(3500頭搾乳)
  • ミネラル代謝
  • 牛舎設計
  • ケトージス
  • カウコンフォート・行動学と生産性
  • 牧場訪問(ダイジェスター)
 第3週目
  • 周産期のミネラル代謝
  • 堆肥処理・環境
  • Dairy Comp305
  • TMR学
  • 繁殖
  • ケトージスの経済効果
  • タイムバジェット(牛の1日の行動)
  • フィードウォッチの説明
  • ケースファーム発表準備
 第4週目
  • 初乳マネージメント
  • 悪露・子宮膣炎
  • エピジェネティック(後天的な遺伝的発現の差)
  • 破行・蹄病
  • 削蹄・肢蹄外科実習
  • ケースファーム発表準備
 第5週目
  • 乳房炎の経済学
  • 農学
  • 乳房炎原因菌の分子学的診断
  • 搾乳システム
  • バルク分析
  • ロボット搾乳
  • 搾乳機器評価実習
  • ケースファーム
  • 遊離電流
  • 原因菌ごとの乳房炎治療選択
 第6週目
  • ジェネティクス(遺伝学)
  • オーガニック
  • 薬品の用法用量検索
  • 若手獣医のパネルディスカッション
  • 薬品残留
  • エサの選択
  • Dairy One訪問
  • ケースファーム発表会



授業風景

牧場視察(Heifer Heaven)

牧場視察(Sunnyside Dairy)


ケースファーム評価発表準備

直検実習

削蹄実習


100頭のロータリーパーラー


サイロの評価方法

哺育舎陽圧換気チューブ

酸性化乳ロボット哺乳・陽圧換気


DairyOneラボ

Paula先生の家のお庭で
南米料理をごちそうになる会

Neutral Pressure Ventilation
まだ発展途上の換気技術


ワインツアー

アディロンダックハイキング