SDR#でDATVの受信限界付近の信号強度を表示する実験(SDRによるSメーター)
現状と課題
DATVの交信において、民生用のSTB
(Set Top
Box)では映像が表示されてから(信号強度が受信限界以上であるとき)
信号レベル計が作動する。すなわち、受信限界以下の信号は検知できない。
また、DATVの受信用SDRと呼べるMiniTiouner
は、受信限界以下の入力信号もRF Pwメータに表示するものの遅延があり、
相手局の位置を確定に使用するには困難を伴う。
実験の目的
そこで、DATVの受信限界付近の微弱な入力信号を、SDR#
を併用して即時的、視覚的に表示することにより、
ビームアンテナの走査による相手局の位置確定を容易にする手段とする。
実験機器の構成
送信 PlutoSDRで5745MHz
DATVを送信 (DVB-S2,FEC 4/5,QPSK,SR2000,1080p)
受信 LNB(TRV)で5GHz帯をIF 1545MHzに変換後、MiniTiounerとHackRF
に分岐。
ソフトウェアはMiniTioune v0.7bとSDR# v1.0を使用。
実 験
(以下、RF PwとはMiniTiounerが表示するの入力信号レベルの値です。)
実験1 フロアーノイズ、RF
Pw=-97dBm
LNBの入力を50Ωで終端した時のMiniTiounerの示すRF
Pwの表示値(フロアーノイズ)です。
当然、SDR#は無信号です。(なお、MiniTiounerの入力を50Ω終端した時のPw表示値は-98dBmでした。)
実験2
MER=10dBとなるRF
Pw=-85dBm
フロアーノイズより+12dBm高いDATV信号で、MERが10dBになります。SDR#はS/N
29dBを表示しています。
(SDR#の表示はGainの設定により変わります。)
MER=10dBは、BNR=
0(ノーエラー)で映像が表示される下限としての基準になります。(2-3dBのマージンがあります。)
金子さんのご指摘のように、安定した画像を得るにはMER
15dB以上が望まれます。
実験3
フロアーノイズより+3dBm、RF
Pw=-94dBm
受信限界以下ですのでBNR(ビットエラー)が多く映像は映りません。しかし、SDR#はS/N
18dBmを表示しています。
実験4
CW(無変調)信号、実験3と同じ電力
DATVの変調を停止したCW信号のピーク値はDATVのピーク値と比較して、SR2000の場合約+7dBmと言われています。
RF Pwは振れています。SDR#は、SNR(S/N)51.4dBと表示しています。
実験5
フロアーノイズ以下のCW信号
MiniTiounerのRF
Pwが振れないフロアーノイズ以下のCW信号です。SDR#は、SNR(S/N)31.2dBと表示しています。
以上から、
1 SDR#は、MiniTiounerで画像表示できない受信限界以下の微弱なDATV信号を表示する。
2 信号がCW(無変調)であれば、SDR#はより微弱な信号を表示する。
3 SDR#は、直前に受信した相対的な信号強度をウオーターフォールに記録している。
この機能により、信号強度の表示に遅延があってもビームのピーク点を取りすぎても最高点の記録を確認し、
ANT角度を再度調整することができる。
これらより、SDR#などのSDRソフトウェアの併用は、DATV交信時の相手局探しに有用性が期待できる。
#実証は春になってからですね。移動時の追加はSDR#が動くSDRデバイスのみで荷になりません。
なお、今回HackRFを使用しました。帯域は最大20MHzあり、DATVの波形や歪を観測でいます。
安価なRTL-SDRは帯域が2MHzなので、SR2000の信号は波形上部しか見えません。
しかし、実験4と実験5は両者全く同様に可能です。
相手局がCW(無変調波)を送信すれば、HackRFを使う必要はありません。
*簡単な実験です、各局さんの追試をお願いいたします。
de
ja1syk/松本