30歳代(20歳代)の方の乳がん検診について 

30歳代の方の乳がん検診の現状は?
 現在、乳がん検診といえばマンモグラフィが標準になってきていますが、実は年令的には40才代以上、特に50才以上で有効とされています。
 厚生労働省のがん検診に関する検討会でも、40才以上の乳がん検診については視触診とマンモグラフィの併用により死亡率減少効果があるとする相応の根拠があるとしています。
 それでは、30才代の乳がん検診をどうするか?ということで、今も専門家のあいだでは議論されています。 厚生労働省のがん検診に関する検討会では、「30歳代については、現在のところ、検診による乳がんの死亡率減少効果について、根拠となるような研究や報告がなされていないため、今後引き続き調査・研究を行うことが必要である。」ということで、賛否両論ある中、平成16年4月に改正された乳がん検診に関するガイドラインでは事実上検診の対象からはずされました。 
つまり30歳代では、視触診はいうまでもなくマンモグラフィでも判定不能例や見落とし例が多くなるため、精度管理の観点から、少なくとも視触診のみやマンモグラフィ併用の乳がん検診としては行わないほうがよいということになります。そのため、平成17年度から多くの市町村では、30歳代の方の乳がん検診を取りやめるところが多くなり、基本的に乳がん検診は40才以上から対象とすることとし原則として全員マンモグラフィによる検診となりました。ちなみに欧米先進国では、50歳以上にマンモグラフィ単独検診を行っているところが多い様です。
 現在のところ、30歳代も従来どおり視触診を行ったり、マンモグラフィや超音波を行うところもありますので、一部の30歳代の方は今後も検診を受けられます。ただし、精度の確かな乳がん検診は現在一般には行われていません。今後の課題として乳癌検診学会を中心に検討中であり、近い将来、超音波検査を導入する方法になるかもしれません。
 従って、視触診のみやマンモグラフィ単独での検診を受けられる方は、以下の理由で注意が必要です。

@年齢が若いため初期の早期がんが比較的多いことから、従来の視触診のみの検診では発見が難しい。
  またしこりが小さい場合も、乳腺が豊富な方では、やはり視触診単独では発見しにくい。

A30才代の乳腺は脂肪が少なく乳腺濃度が高いため、マンモグラフィの読影では高濃度乳房といわれ、
 レントゲンでも乳がんの腫瘤そのものが判別しにくい。そのため、検診の読影では見落としが多くなると考えられる。
 ただし、乳癌に特有の所見である〈集簇性あるいは区域性微細石灰化〉はマンモグラフィで発見されやすい所見である。

初期の乳がんを見落とさないためには、マンモグラフィにエコー(超音波)を併用した検査法による総合判定が良いため、
はじめから病院 あるいは このような検査をおこなっている検診施設で受けるのが良いと考えられます。
マンモとエコーを別々に、あるいは毎年交互に受けるのではなく、マンモグラフィを参照しながら同日にエコーを受けるのが、
理想の検査法です。


乳がんの検出不能例 《 いわゆる見落とし症例ではありません 》について、ここで、検診と病院受診(診察)のちがいを知っておく必要があります。

乳がんは何歳くらいが多いのでしょうか?

 近年日本では乳がんは増加傾向にあり、40代後半にピークがあります。今後30才代、特に35歳以上の乳がん罹患率も高くなっていくことが予想されます。そのため、以前にも増して早期発見が重要になっています。20歳代、30歳代は検診対象年令ではありませんから、まず、自分で注意することが大切です。

では、どうしたらよいのでしょうか?




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