第968条 自筆証書によつて遺言をするには、遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。
第969条 公正証書によつて遺言をするには、左の方式に従わなければならない。
証人2人以上の立会があること。
遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせること。
遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印をおすこと。但し、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができる。
公証人が、その証書は前4号に掲げる方式に従つて作つたものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。
第970条 秘密証書によつて遺言をするには、左の方式に従わなければならない。
遺言者が、その証書に署名し、印をおすこと。
遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章を以てこれに封印すること。
遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
公証人が、その証書を提出した日附及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印をおすこと。
2 第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言にこれを準用する。
第971条 秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあつても、第968条の方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。
第972条 言語を発することができない者が秘密証書によつて遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、その証書は自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を封紙に自書して、第970条第1項第3号の申述に代えなければならない。
2 公証人は、遺言者が前項に定める方式を践んだ旨を封紙に記載して、申述の記載に代えなければならない。
第973条 禁治産者が本心に復した時において遺言をするには、医師2人以上の立会がなければならない。
2 遺言に立ち会つた医師は、遺言者が遺言をする時において心神喪失の状況になかつた旨を遺言書に附記して、これに署名し、印をおさなければならない。但し、秘密証書によつて遺言をする場合には、その封紙に右の記載をし、署名し、印をおさなければならない。
第974条 左に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
未成年者
禁治産者及び準禁治産者
推定相続人、受遺者及びその配偶者並びに直系血族
公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び雇人
第975条 遺言は、2人以上の者が同一の証書でこれをすることができない。