具体的指示例
1 不動産
@ 私は別に財産目録中の借地権及び建物については、老人介護施設への入居資金、若しくは今後の生活資金とするため、早期に売却したいと思います。
A 財産目録中の土地建物ついて売買価格を含む買い主との交渉、不動産仲介業者の選定、売買代金の決済受領保管所有権移転に必要な登記手続、その他売却に必要な一切のことを私に代わってい行ってください。
B 増改築に関しては、安全性・衛生の保持・確保のためまたは、委託者の介護、日常生活の維持のために必要なもののみ行うこと。工事に際しては施工者から見積を提出させ、任意後見監督人の許可を得てから工事に着工すること。
C 委託者及び配偶者の生活費、介護費用及び療養看護費(以下「生活費等」という)に支出する必要がある場合、任意後見人は不動産を担保に借入をすることができる。
D 財産からの収入(年金の支給を含む)、不動産以外の資産の処分及び扶養義務者からの支援等によっても生活費等の支出を賄えないこと任意後見人は不動産を担保に借入をすることができる。
E 不動産を担保に借入をする場合は任意後見監督人の承諾がある場合に限る。
F 借入によっても生活費等の支出を賄えない場合、あるいは借り入れが不可能の場合、任意後見人は次の順序で売却できる。ただし、先順位の売却が困難な場合は、任意後見監督人の許可を得て次順位の不動産を売却できる。
順位 1 A番地の土地 2 B番地の土地建物 3 自宅の土地建物
G 将来有料老人ホームへの入所を希望しているが、入所しないうちに自己決定が出来なく なった場合は、あらかじめ定めた順に従い、入所交渉を行い、それに要する費用及び維持管理等は自宅を含めた不動産等を売却して充ててください。
H 貸不動産については、質料の収受、取立を適正迅速に行い、相当な賃料の値上げを賃借人に請求すること。任意後見人は、合理的な費用負担の範囲内で賃貸不動産の管理業務を不動産仲介業者に委任することができます。
預貯金の管理
@ 任意後見人は、財産管理等によって生じる一切の収入及び支出を 名義の下記銀行口座(以下「管理口座」という)を通して行って下さい。 000銀行000支店 普通預金 口座番号000000
任意後見人名義で開設する場合には、任意後見人自らの財産と区別できるよう、口座名を設定して下さい。
A 任意後見人は、緊急やむをえない必要がある場合には管理口座以外の口座等から支出することが できる。
B 管理口座の預金残高が、当面の支出を賄うに十分な金額に達した時は、余剰金額についてこれを定期性預貯金等にて保管することができる。その場合でも、将来の資金需要が適時確保される方法で保管されるよう努めなければなりません。
C 任意後見人は、任意後見監督人に計算報告する際、管理口座及びその他の預貯金の口座の写しを添付して下さい。
有価証券の管理
@ 有価証券に基づく権利の行使は、その期限に怠りなく行使して下さい。受領する配当金、元利金等は管理口座に入金して下さい。
A 本件財産のうち取引相場がある株式、転換社債その他有価証券については、本件財産の管理開始の時点における時価より[20%]以上その取引価格が下落する場合には、委託者はこれを処分することができます。但し、その処分後、任意後見人は、処分で得た代価を、同一銘柄または同種の有価証券若しくはその他の有価証券に再投資することができません。
B 委託者が保有する[0000株式会社]の株式に関する株主権の行使、並びにその株式の処分は、別途任意後見人に対し交付した[0000株式会社株式の件]記 載の指示にしたがって行って下さい。[0000株式会社に対するその株主権の行使に関しては、本書をもって、000000000を委託者の信託任意後見人に選任します。]
年金保険の管理
@ 変更届等を保険者に提出すべき事由が生じた場合には遅滞なく提出して下さい。
A 保険金、年金が支給される場合には管理口座に入金して下さい。
生活費等の支出
@ 任意後見人は、委託者のライフプランを専重して、できる限り委託者及びその配偶者の生活上の需要に答えるものとします。ただし、本件財産の能力ではその需要に答えられないと見込まれる場合には、委託者、その配偶者及び任意後見監督人と協議して、生活上の需要を本件財産の能力の範囲内にとどめるよう努めるものとします
A 任意後見人は、管理口座からの自動引落としにより支払可能な支出についてはこの方法によることができます。
B 任意後見人は、委託者及びその配偶者の日常生活上の小取引の支払に当てるため、前月末日までに、当月分金 万円を管理口座から(委託者・配偶者)に交付するものとします。交付額は、消費の状況を見て、任意後見人、配偶者及び任意後見監督人協議して変更するものとします。
C 任意後見人は、委託者の財産から支出した場合は、領収書その他支出を証する証拠を保存しなければなりません。
D 委託者の実印及び印鑑登録カードは任意後見人が保管してください。なお、委託者は、次項の目的に使用するために、印鑑登録カードを使用して印鑑登録証明書の交付申請をする権限を任意後見人に付与します。
身上監護
@ 任意後見人は、下記の事項に限って委託者の身上監護を行って下さい。
1 私的または公的介護サービスの申込みの代理その他これに関する不服申立て等
2 委託者の療養看護のための病院、特別擁護老人ホーム等への入院、入所の申込みの代理及び退所についての決定
3 有料老人ホームその他これに類似する施設への入所の申込みの代理及び退所についての決 定
4 委託者の扶養義務者に対して扶養義務の履行を求めること
5 委託者本人、その配偶者、その親族等が委託者に対する医療行為に関する同意を与えられない場合に同意を与えること
A 委託者の生活及び生存を維持するために緊急を要し、当面任意後見人以外に処理できる者がいない場合には、前項各号に規定した事項以外の身上監護であっても、任意後見人は応急の措置を取って下さい。
B 上記に明記されたものの外、任意後見人は、委託者の身体の自由、委託者に対し加えられる医療行為、並びに、その療養看護に関する権限は有しません。
2 介護サービス等の選択
委託者及びその配偶者の日常生活の維持、私的または公的介護サービスの受給、療養看護に関する措置については、任意後見人は任意後見監督人と協議の上、委託者のために適当であると合理的に判断される方法を選択し、そのための費用を支出して下さい。
3 療養施設等への入所
療養施設、老人ホームヘの入所・入院は、自宅における生活が困難であることの任意後見監督人の文書による確認のはか、委託者の心身の状態については、必ず医師による珍断を得た上行うこととします。
(1) 甲が所有する預貯金の中からの生活に必要な一定額の金銭の支払いの代行
(2) 預貯金の預入れ、払戻し、解約
(3) 預貯金通帳、甲作成の遺言書・権利証等重要書類の保管
(4) 金融機関からの貸金庫の利用に関する一切の手続(契約者乙)
(5) 本件財産のうち、建物の修理、修繕等の保守行為
(6) 本件財産のうち、建物の賃貸借契約、賃料の支払い請求・受領及びこれに付帯する一切の事務
紛争処理
@ 本件財産に関する、または委託者に関する紛争の処理については、全て任意後見人の合理的な裁量によって、本契約の趣旨にしたがい委託者の利益を図って処理して下さい。
A 任意後見人が委託者のために行う訴訟行為、仲裁、調停、示談・和解等その他一切の行為のために要する委任状は、予め委託者がこれを20通作成し任意後見監督人に預託しておきます。任意後見監督人は、その必要性を判断し、任意後見人に委任状を交付して下さい。
例8 法定後見人の選任申立て
@ 本件財産を処分する必要があるのにもかかわらず、取引の相手方等が任意代理方式(任意後見人が委託者を代理して、契約書上に署名代行ないし代理署名により契約を締結する方法)を拒否する場合には、任意後見人及び任意後見監督人は法定後見人の選任の申立をなすなど、必要な措置を取って下さい。
前記9に記載した方法によっては紛争の処理ができない場合には、任意後見人及び任意後見監督人は、法定後見人の選任の申立をなすなど、必要な措置を取って下さい。 |