Q 乳がんは早期発見すれば治るの?
A 早期なら約90%が治癒します。早期発見のために、定期検診が必要です
乳がんは女性の30〜64歳のがん罹患率、死亡率とも第一位です。
近年、乳癌のり患数は増加傾向にあり、日本人女性の約9人に1人が乳がんにかかるといわれています。一方早期乳癌での発見も増えており、、 早期乳がん( 0期、1期 )なら、ほぼ90%以上の方が治るという統計がでています。
乳がんの自覚症状は しこりが触れる、あるいはしこりのために乳房が変形する、血液の混じった乳頭分泌がある、などがあります。 乳がんと 痛みは まず関係がありません。 早期発見のためには、自己検診の習慣や、定期的な マンモグラフィによる検診が有効です。40才以上の方で エコー検査のみという方は少なくとも2年に一度のマンモグラフィ検査をおすすめします。
Q マンモグラフィって、なに?
A 早期の乳がんを発見できる乳房専用のレントゲン撮影です
乳房は普通のレントゲンでは写りません。手でわからないような小さな病変を検出するために乳房全体をプレートの間にはさんで 片方ずつ撮影します。検査時間は10分程度です。マンモグラフィでは、乳がんの初期症状である微細な石灰化や小さな腫瘤を発見できます。乳がんの発見に最も適した検査のひとつとされています
Q 放射線の被曝(ひばく)による危険性は?
A X線の量はごくわずかで、ほとんど危険はありません。
マンモグラフィはレントゲン検査のためわずかの放射線被曝はありますが、 乳房だけの部分的なもので全身への影響はほとんどないと考えられます。ただし、妊娠の可能性のある方は念のためお申し出ください。撮影を控えることがあります。
Q 検査は‘痛い’のですか?
A 乳房全体をはさんで圧迫するため、ひとによっては多少痛いこともあります
適度に圧迫するため人によっては痛いかもしれませんが、これは診断に必要な良い画像をとるためには重要なことなのです。また、できるだけ圧迫して薄くすることにより、放射線の被曝量を少なくする効果もあります。
Q 乳がんが100%見つかるのでしょうか?
A マンモグラフィ単独では乳腺濃度の高い方の場合、
約10〜20%の乳がんが見過ごされる 恐れがあります
マンモグラフィは、エビデンスのある検査法とされています。しかし、一般に若年者(40歳代以下)、授乳期後の方、手術後の方、もともと乳腺濃度の高い方 の場合、腫瘤(しこり)の所見が隠されてしまい見つけることがむずかしいことがあります。 そのため、視触診やエコー(超音波)検査が必要になります。 『高濃度乳房』 の方ではエコーとの併用がお勧めです。また、検診やドックで異常がなくても、数カ月で乳がんが発見されることもまれにあります。自分でしこりを触れて気になる場合は必ず専門医での診察を受けることをおすすめします。
Q 超音波検査(エコー)とどちらがいいのですか?
A どちらも乳がんの早期発見や診断のためには必要な検査です。乳がん検診としてはマンモグラフィが正式に認められた検査法です。年令や乳腺の状態を考慮してどちらかを選択、または組み合わせておこなうこともあります
超音波検査は医師または技師が直接エコーを操作しながらおこないます。主に若年者、妊娠中の方、乳房の圧迫が出来ない方、豊胸術後の場合は超音波検査が適しています。マンモグラフィは主に閉経前後以上の方に適しており、 がんの初期の症状のひとつである微細石灰化を見つけ出すことができます。エコーのみでは細かな微細石灰化のみの非浸潤がんを見つけることがむずかしいため、 正式な一次検査としての検診として広く行われているのはマンモグラフィです。
Q どこで検査を受ければいいの?
A 乳腺専門の医療機関やマンモグラフィ検診を実施している施設で受けて下さい
乳がんは、乳腺外科が専門医になります。
自覚症状がある方や超音波検査がご希望の方ははじめから専門施設を受診して下さい。
マンモグラフィの検診を受けたい方は、検診を積極的に行っている施設での検査をおすすめします。
乳がん検診の全国的な管理組織である 『日本乳がん検診検診精度管理中央機構』や『日本乳癌学会』のホームページが参考になると思います。
当院はマンモグラフィ検診施設画像認定とマンモグラフィ読影認定を受けています。専門の医師、専門の女性技師が検査と診察にあたります。
Q 撮影にあたっての注意点は?
A 検査の日は、制汗剤やパウダーなどはよく拭き取ってから受けてください
腋の下にパウダーなどが付いていると、石灰化に似たものが写ってしまいますのでよく拭き取ってください。以前受けた乳房の手術(豊胸術や組織検査など)、ペースメーカー、カテーテル、シャント、インスリン持続注入ポンプなどのある方は、あらかじめその旨をお話ください。キズ、イボやほくろなどのある方も問診の際、申し出てくださると助かります。
Q 何歳から受ければいいの?
A 早期発見のためには30歳をすぎたら定期的に検査を受けるのがよいでしょう
マンモグラフィ検診は一般に、40歳以上の方は市町村による公的な検診として受けられますが 早期発見のためには 30歳をすぎたら定期的に(1〜2年に一度)検査を受けるのがよいでしょう。 家族歴があるハイリスク群の若い方は 早めに、一度は受けてみることをお勧めします。
Q 授乳中あるいは最近まで授乳してたのですが、検査うけられますか?
A 授乳期は、まずエコー検査を行います
マンモグラフィ検査は授乳期の乳腺には、あまり適していません。一般には、特に症状がないなど検診としてならば授乳終了後1年以上たってからの検査をお勧めしています。授乳期にしこりがある場合や乳頭分泌がある場合は、まずエコーを優先いたします。その後、乳腺の状態をみてから最適な検査法を考慮します。
授乳期のしこりや脹れは、乳汁うっ帯や乳腺炎などが多く、産婦人科での治療がまず必要ですが、授乳期のかたでもしこりが気になる場合は、まずはご相談下さい。
当院では最新のマンモグラフィ撮影装置と超音波診断装置を備えています。
乳腺専門医、マンモグラフィ読影認定医が診断します
1. まず、鏡の前で両腕を下げたまま、左右の乳房や乳首の形を覚えておきます。
2. 両腕を上げて、正面、側面、斜めを鏡に映し、次のことを調べます。
A 乳房のどこかにくぼみやひきつれたところはないか。
B 乳首がへこんだり、湿疹のようなただれができていないか。
C 左右の乳首を軽くつまみ、乳をしぼり出すようにして、血のような異常な液が出ないか調べます。
黄色や茶色の分泌のものも異常乳頭分泌の可能性があります。
3. しこりについて、左の乳房の内側半分を調べるには、左腕を頭の後ろに上げ、右手の示指と中指の腹で軽く圧迫して まんべんなく触れてみます。 乳がんのしこりの硬さは、例えば石のようなものか
ら豆や消しゴムのようなものまで さまざまです。
4. 外側半分を調べるには、腕を自然の位置に下げ、やはり反対側の指の腹で同じようにく触れてみます。
5. あおむけに寝た姿勢でも調べてみます。
左の乳房を調べるときは左肩の下に座布団か薄い枕を敷き、乳房が垂れず乳首が上を向くようにします。
6. 乳房を指と指でつまむようにしてはいけません。
つまんでしまうと異常でない正常な乳腺をシコリのように感じますから、必ずひとさし指と中指の腹で擦るようにして探してください。
7. 左の乳房の検診が終わったら、右の乳房を同じ要領で検査します。
毎月自己検診をしているうちに自分の乳房の普通の状態がわかり、異常を早く見つけられるようになります。
万一しこりがあったとしても、ほとんどは良性のことが多いのですが、確認するには、マンモグラフィやエコー検査が必要になります。
少しでも異常を感じたら、ためらわずに専門医(乳腺専門医)へ受診しましょう。
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A.乳腺の発達が良く、乳腺実質が脂肪よりも多く(大体の目安で50%以上)、マンモグラフィ検査で乳腺濃度が濃く写るタイプのことです。しこりがあっても乳腺に隠されてしまい所見がわかりにくいといわれています。高濃度乳房は 病気ではありません。
マンモグラフィ検査の診断をするときに、読影医は乳房内の乳腺実質の写り方によって、乳腺の評価をします。一般に、乳房マンモグラフィは次の4つに分類されます。
@極めて高濃度乳房 A不均一高濃度乳房 B乳腺散在乳房 C脂肪性乳房
このうち、@とAの乳腺実質の濃い人たちの乳房を高濃度乳房としますが、これは決して病気なのではなく、乳腺の発達や体質による写り方の違いの分類です。
高濃度乳房の方のデメリットとして、腫瘤が乳腺濃度に隠されて見づらくなり、乳癌の発見率が低下することです。さらに、乳腺の発達がいいことで、乳癌のリスクが高まるともいわれています。
従って、検診対象者のうち、40歳台の特に高濃度乳房の人たちに対するマンモグラフィの判定の難しさが以前から問題にされており、そこが、マンモグラフィ検査の弱い所と言えます。この対策としては、マンモグラフィに加えて エコー検査を併用することが有効と考えられています。
一般に高濃度乳房の持ち主は乳房の発達した閉経前の30〜40歳台以下、出産・授乳歴のない方、女性ホルモン剤の補充療法を長期受けている方などに多く、逆に年齢が高くなるほど、授乳歴が多いほど、また、更年期を過ぎると次第に乳腺実質は委縮していくため、乳腺濃度は低くなっていきます。そのため、閉経期を過ぎると、乳腺散在あるいは脂肪性の乳房に変わっていきます。
40歳以下は皆が高濃度乳房というわけではなく、20歳台でも乳腺散在や脂肪性乳房の方もいますし、閉経後でも高濃度乳房の方もいらっしゃいます。乳房はひとそれぞれで個人差が多いものなのです。
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近年、乳がんの対策のために世界的に提唱されているキーワードが ブレスト・アウェアネス です。
ブレスト・アウェアネスとは 「 乳房を意識する生活習慣 」のことで、女性が自分の乳房の状態に 日頃から関心を持つことにより、乳房の変化を感じたら速やかに医師に相談するという正しい受診行動を身につけるための基本行動です。
ブレスト・アウェアネスとしては 次の 4つの基本行動が提唱されています
1.乳房の状態を知ること - 見て、触って、感じる 乳房のチェック
2.早く乳房の変化に気づく - しこり、皮膚の凹み、血性乳頭分泌、など
3.乳房の変化に気付いたら すぐ医師に相談する
4.定期的に乳がん検診を受ける。(40歳になったらマンモグラフィ検診を。)
ブレストアウェアネスは、乳房の自己検診、セルフチェック とは少し意味が違います。
いままでのような 乳房の自己触診にとどまるのではなく、【乳房を意識すること】が提唱されています。
正しく意識し、理解するためには リテラシーliteracyが必要です。
ヘルスリテラシー、つまり健康を意識し、理解し、正しく判断する力を意味します。
乳房のヘルスリテラシーを身に付けるための 第一歩が ブレストアウェアネスなのです。
女性が生涯を通じて健康で明るい、充実した生活を送るために必要な 生活習慣を身に着けるための健康教育の一つです。
ブレスト・アウェアネスによってできること
・自分の乳房への関心を高める
・自分の乳がん発症リスクを知る。(たとえば、家族歴に乳がんの人がいる、高濃度乳房であること、など)
・乳がんにならないように予防する。(運動、食事、生活習慣)
・乳がん検診の大切さ、利益と不利益を理解する。
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A.日常よくみられる代表的なものとしては次のような疾患があります。大きくわけて しこり(腫瘍)と甲状腺ホルモンの病気のふたつです。
甲状腺腫 Thyroid adenoma
腺腫様甲状腺腫Adenomatous
Goiter
甲状腺にできる良性の腫瘍です。 腺腫は比較的形の整った楕円形のしこりで くりっとした比較的軟らかな腫瘤です。 徐々に大きくなることがありますが、多くは問題ありません。 一方、腺腫様甲状腺腫は形がいびつでやや硬く、多発することもあります。 いずれも小さなものは経過観察とします。悪性が疑われる場合や短期間で大きくなるものは癌との鑑別のため、組織診や細胞診を行います。 良性でも大きさがおおむね3-4cm以上で、特に圧迫感や症状があるものは手術を考慮します。(手術の適応は必ずしも大きさだけではありません)定期的な検査をすすめます。(4-6か月毎、変化ないものは1年毎)
甲状腺のう胞 Cystic disease
甲状腺にふくろのようなしこりができます。中に甲状腺の分泌液がたまって、徐々に大きくなることもありますが、おおくは無症状です。多発することもありますが、ホルモンへの影響や機能低下など症状はほとんどありません。治療の必要はありませんが、ある程度定期的な検査(半年、1年毎)をおすすめします。
橋本病(=慢性甲状腺炎 HasiomotoDisease)
甲状腺の自己抗体により慢性的な変性、リンパ球浸潤が起こり、腫れが起こります。甲状腺全体の硬さ、あるいは腫れが症状です。 軽度のうちは甲状腺機能は正常ですが、長い経過のうちに甲状腺機能低下をきたすことがあります。ホルモンが低下してくると、疲れやすい、むくみ、便秘、月経異常、不妊症、寒気、意欲低下 など様々な症状が出ることがあります。 甲状腺ホルモン剤を内服することで軽快します。
甲状腺機能低下症 Hypo-thyroidism
慢性的に甲状腺ホルモンが低い状態です。 ほとんどは橋本病が原因ですが、先天性や続発性のものもあります。 疲れやすい、だるい、むくみなど全身症状がつよければ ホルモン補充療法をおこないます。
甲状腺機能亢進症 (ほとんどはバセドウ病 、まれに機能性腫瘍あり) Hyper-thyroidism
バセドウ病が有名ですが、みずからの甲状腺を刺激する自己抗体により甲状腺のホルモンが分泌過剰になり、代謝が亢進し、様々な症状がでます。軽症では無症状ですが、進行すると、甲状腺腫大、動悸、頻脈、発汗、眼球突出、手のふるえ、いらいらなど。 さらに心房細動などの不整脈、体重減少、など全身症状が強く出ます。放置した場合、心臓疾患や血栓症、脳梗塞の原因になります。 甲状腺機能亢進症は必ず治療が必要ですので、抗甲状腺剤の内服と定期的な検査をします。 内服が出来ない場合は手術療法や放射線療法が適応になることもあります。
亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎という一時的な甲状腺機能亢進を来たす疾患もありますが、エコー検査や採血による精査が必要です。
頻度はまれですが、機能性(ホルモン産生性)の腫瘤もあります。 内服あるいは手術が適応です。
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甲状腺は前頚部の喉頭(のどぼとけ)のやや下にあり、ふつうは触れません。しこりや腫れが起こると硬くなるので触診でわかります。 甲状腺ホルモンを分泌し、体温調節や代謝、自律神経などに関わる働きをしています。甲状腺ホルモンの多い、あるいは少ない状態でも腫れが起きたり、硬くなります。甲状腺のしこりは一般的な健康診断や人間ドックでの診察では、早期にみつけることはなかなかできませんが、丁寧に触診することによって発見されやすくなります。 最近では血管年令のための頚部動脈エコーでたまたま指摘されることも多く見られます。
甲状腺がんの早期発見にはエコーによる検査が有効です。
当院では 甲状腺専用のエコーによる診断と細胞診などの精密検査を行っています。