蕎麦打ちの手順(2:延し〜茹で) 

並蕎麦・変わり蕎麦共通


延しの工程以降は、並蕎麦も変わり蕎麦も作業は同じです。
 


蕎麦打ちの手順 (1:並蕎麦水回し)
           (1:変わり蕎麦水回し)(2:延し)(3:切り)(4:茹で)
 

大工程 中工程 説     明 ポイント
延し 丸延し ここから、のし台の作業になります。 

最初に、どうを載せる部分に、「打ち粉」を薄く蒔いておきましょう。 
その上にどうを載せ、両手で少しずつ抑えながら饅頭の大きさを、大きくして行きます。 

親指の元の膨らんだ部分を当て、少しずつ延ばして行きます。真ん中の部分には、小高い山を残す感じで、廻りを延ばして行きます。 
どうを回しながら、全体を均等に丸いまま延ばして行きますが、形が崩れてきた時には、真ん中の部分をそちらに割り振る様な感じで使います。 

直径が、20〜30cm 程度に成ってきたら、後は麺棒を使って延ばして行きます。 
麺棒は、真ん中から向こう側へ、力を入れずに少しずつ延ばして行きます。 
少し延ばしては、時計と反対廻りに少しずらして、出来る限り丸いまま延ばして行きます。 

直径が、40〜50cm 程度に成ったら、いよいよ形を四角にして行きます。

出来る限り、丸になるようにして下さい。 
麺棒で押し出すときは端の部分が残る様途中で止めて下さい。 
 
 
 
 
四つ出し 
(角出し)
丸く平になったドウを、四角形にします。 
(地方によっては、丸いまま薄く延して行きます) 
まず、一方向(Aとします)から、のし棒に巻き取って行きます。少し力を入れて前方に押し転がしながら、何回転かさせます。のし板の向こう側まで転がしたら少し持ち上げて手前に引き寄せ、再度向こう側に押し転がしながら、延ばして行きます。 
すると、巻き付けられた先端が、丸い線から少し三角形に成ってきます。 
次に、のし棒を180度回転させ、手前から前の方向に巻いて有るドウを解きほぐして行きます。 
(三角形の部分が、手前側に来ている) 
広げたドウは、縦に長く成っているはずです。 
再度、手前から向こう側に、ドウをのし棒で巻き取って行き、向こう側へ転がして延ばして行きます。 

今回は、回数を2〜3回程度にしておきます。 
次に、巻き取った状態で、のし棒毎、時計回りに90度回します。(丁度、のし棒が縦に成ります) 
そのまま、右端に寄せ、左に回しながら、ドウを解いて行くと楕円形のドウが、横に広がるはずです。 
そのままの位置で、最初と同じように、手前から向こう側へのし棒に巻き付け、延ばして行きます。 
数回、行ったら、180度回転させ、同じ動作を繰り返します。 
4度目の押し転がしが終わったら、のし棒を時計回りに45度回します。 
そのまま、のし台の右上端に持って行き、右上から左下へのし棒を解きほどいて行くと、ほぼ四角形に成っていると思います。

延す強さ、回転数、ドウの堅さ等々に依り、均等に四角にするのは、経験するしかないようです。
本延し 四角になったドウは、巻き棒に手前から巻き取ります。 
半分ほど巻き取ったら、向こう側のドウにのし棒をあてがい、手前から向こう側に回転させながら、押し出すようにして麺を伸ばして行きます。 
出来るだけ、優しく無理に力を入れないようにして少しずつ、延ばして行きます。 
手前の部分が薄く延ばせたら、その部分を巻き取り延ばす部分だけを出して、延ばして行きます。 
一番向こう側まで延ばし終えたら、全てを巻き取り、のし棒毎、180度回転させます。 

手前から向こう側に半分だけ解いて行き、延して有る手前からべつの巻き棒で巻き取って行きます。 
半分ずつ巻き取った巻き棒が真ん中辺りでぶつかったら、その二本を両手でつまみ上げ、手前に持ってきます。 
向こう側の巻き棒を向こう側に解き放つと、未だ延ばしていない部分が、広がります。 
手のひらで、延ばしていない部分をチェックし、同じように、向こう側に向けて薄く延ばして行きます。 
全体が延ばし終えたら、全てを巻き棒に巻き取ります。

延ばして行く限度は、厚さが2mmくらいと言いますが、巻き取った棒の横から見て判断するのが、良いでしょう。 
慣れてくると、上から触って何となく判るように成ると思います。 

延ばして行く形は、出来るだけ四角の形を保つことが望ましい。 
畳んで切って行くときに、端っぱが出にくい。 
(最後まで綺麗に切れる) 

のし台にも、打ち粉を薄く引いておくとくっつきにくい。 
 

畳み まき棒に巻き取って有る面体を、左から右方向に広げて行けるよう、位置決めをします。 
ほぼ真ん中当たりまで、広げたら、面体の上に打ち粉を沢山まぶします。 
特に、左端は一番最後に切りますので、たっぷりとまいて下さい。 
充分に打ち粉をまぶしたら、残りの面体を左から右へ巻き戻しながら重ねて行きます。 
左端を揃えるために、最後の一巻きくらいまでに成ったら、全体をずらして丁度半分ずつ重なるように面体をずらします。 
次に、手前から向こう側へ折り畳みますので、上半分に再度打ち粉をたっぷりと振り掛けます。 
まき棒を手前から20cm位の所に置き、手前の面体をまき棒の上に被せます。 
そのままの形で、まき棒の両側を持ち少し持ち上げて向こう側の端とこちら側から持っていった端が合うように置きます。 
天地の長さは、包丁の長さよりも長いと思うので、更にもう一度、向こう側に折り込みます。 
向こう側半分にたっぷりの打ち粉を忘れない様にして、今度はまき棒を使わずに、両手で向こう側に折り込みます。 
これで、畳みは終了です。
畳み込む面体の間に、打ち粉をたっぷりとまぶすこと。 

端が少々ずれても気にしないこと。 
 

切り 切り 次に、面体を切るわけですが、まな板をのし台の端に置き、その上に打ち粉を薄く引きます。 
その上に、先ほど畳んだ面体をそっと乗せます。 
更に、その面体の上に打ち粉を全体にまぶすようにまき、小間板の滑りが良くなるようにします。 
いよいよ、切りです。 
小間板を当て、包丁で一番右側を切りそろえます。 
切る幅は、2mm くらいでしょうか、一寸(3.3cm)を23本(1.5mm位)に切るのが普通の切り方で、細打ちというのは、一寸を45本(7mm位)に切るそうです。 
切り方は、上から下へ包丁を下ろす訳ですが、手前から向こう側へ押し出すように切り下ろします。 
一番下まで、切り下ろしたら、包丁全体を左へ少し傾けます。 
すると、当てていた小間板が、ホンの僅か左へずれます。 
このずれた間隔が、切り幅になります。 
包丁を垂直に引き上げ、再度手前から向こう側へ押し出しながら、切って行きます。 
左端から、順番に切って行き、二寸位切り終わったら、切った部分だけを右へずらし、打ち粉を落とし、生舟に格納します。
小間板は、左手の親指、人差し指、小指で軽く押さえます。 
力を入れると、上手くずれてくれません。 

時々、小間板を持ち上げて手前と向こう側が、等しく切れているかどうか、確認しましょう。 
 

保管 切り終わった生蕎麦は、乾燥を避けるために、早めに保管できる入れ物(生舟)に入れます。 
茹でる前には、最低30分位はそのままで寝かせます。
冷蔵庫で保管する場合には、結露した水が、蕎麦に直接付かない工夫をして下さい。
茹で 茹で 茹では、出来る限り大きな鍋で、沸騰したお湯と入れた蕎麦が一緒に鍋の中で回転する様に茹でる。 
生粉打ちや、二八そばの場合、茹でる時間は若干異なるかも知れませんが、乾麺と比べたら圧倒的に短い時間で茹で上がります。 
先ずは、大きな鍋に八分目ほどのお湯を沸騰させます。 
蕎麦をパラパラと鍋のお湯の中に入れて行きます。 
出来るだけ、くっつかない様に離して入れて行きます。 
蕎麦を入れると、沸騰したお湯の温度が下がり、一時的に下に沈みます。 
下に沈んだ蕎麦同士がくっつかないように、菜箸などでゆっくりと静かに麺をお湯の中に浮かせるような感じで動かしてあげます。 
暫くすると、再度お湯が沸騰を始めますので、麺がお湯と一緒にぐるぐると回りだしたら、1から15位まで、ゆっくりとカウントします。 
カウントが終わったら、直ちにお湯の中から、茹だった麺をすくい出します。 
別に用意して置いた、たっぷりの水に浸します。
家庭にある鍋の場合、一人前ずつ茹でることを奨めます。 

茹ですぎないように注意して下さい。 

お湯から笊ですくいだす場合、手早くやって下さい。 
 

洗い 水に浸した蕎麦は、再度笊に置き、冷たい水を上から万遍なく掛けます(これを面水と言います)。 
このことにより、蕎麦の表面がきゅっとしまり、腰が出ます。 
その後、蕎麦の表面に付いた「ぬめり」を取るために、たっぷりの水で洗います。 
水の中で泳がせるように、白っぽいものが無くなるまで、すすぎます。 
洗いが終わったら、水切りのために笊に盛りつけます。
出来れば「氷水」を用意して冷やして下さい。 

洗いは、たっぷりの水の中で手を小さく左回りに廻し、蕎麦を泳がせるようにします。 
 

盛りつけ 洗いの工程で、笊に盛りつけられれば、敢えてもう一度盛りつけ直す必要は有りません。 
各人別々に盛りつけるので有れば、蕎麦が絡まないように、少しずつ盛りつける必要がある。 

私のつたない作品をご覧下さい。

茹でた後は、出来る限り早く食べて下さい。 

伸びた蕎麦ほどまずいものはありません。 
 


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